プリセプターの悩みを一挙解決!どうする?新人看護師の指導方法や関係構築

今年からプリセプターとなり、4月から新人指導をしている看護師さんも多いかと思います。
新人指導をして早2か月、どうしようもない壁にぶち当たっていませんか?

思うように新人が成長してくれず指導の仕方が分からなくなったり、新人とどうコミュニケーションを取ったらいいのか悩んでいるプリセプターさんもいるのではないでしょうか。
本記事ではそんな悩めるプリセプターさんを応援すべく、新人看護師が何に悩んでいるのか・どんな指導を求めているのかを徹底解剖。新人看護師への指導の仕方や関係構築の方法をご紹介します。

【目次】

  • プリセプターはどんな事に悩んでる?
  • プリセプターの悩みとその解決策とは?
  • 新人看護師(プリセプティ)が抱える悩みとは?
  • 新人看護師が求めるプリセプター像とは?
  • 新人看護師から辞めたいと言われたら?
  • まとめ

プリセプターはどんな事に悩んでる?

プリセプターの多くは新人指導の経験がないという人が大半で、慣れない新人指導に四苦八苦している方がほとんどです。

  • 新人にどう指導していいか分からない
  • 新人とどうコミュニケーションを取ったら良いか分からない
  • 教えた事に対して何度も同じミスをしてくる
  • 自分が担当している新人(プリセプティ)をどうしても好きになれない

といった悩みを抱えているプリセプターが多いんです。

あなたの悩みも、プリセプターとして奮闘する看護師のほとんどが直面している悩み。なので、「プリセプターに向いてないかも・・・」と思い悩む必要はありません。とはいえ、プリセプターの役割は新人看護師を一人前の看護師になれるようサポートする事。「なるようになる」という考えでは新人は育ちません。ではどうしたら悩みを解決できるでしょうか。

 

プリセプターの悩みとその解決策とは?

≪悩み≫ 新人にどう教えたら良いか分からない

≪解決策①≫プリセプター経験のある先輩看護師や同じプリセプター仲間に相談する
初めてプリセプターになった方は、経験がない分どう指導していいか迷ってしまいますよね。自分一人で考えても答えが出てこない時は迷わず周囲の人に相談してみましょう!プリセプターとしての経験がある先輩看護師なら良い解決策を教えてくれるでしょうし、プリセプター仲間とは似たような悩みを共有する事で気持ちが落ち着くはずです。

≪解決策②≫褒める・叱るのバランスは3:1

“ピグマリオン効果”と“ゴーレム効果”というのはご存知でしょうか。

心理学の研究で、ある小学校で知能検査を行いました。そこで無作為に数名の生徒を選び「この生徒は伸びる子です」と偽りの情報を担任に伝えたところ、教師はその選ばれた生徒たちに対して期待を込めて指導しました。すると無作為に選んだにも関わらず、その生徒たちは本当に著しく成長したのです。これが“ピグマリオン効果”といわれるものです。

“ゴーレム効果”とはその逆で、「ダメだ」「なぜ出来ないんだ」と指導すると本当に「ダメな子」になってしまうというものです。いわゆる“言霊”ですね。叱るだけでは人はダメになってしまいます。褒める・叱るをバランス良く織り交ぜるのが、新人指導では大変重要になってきます。

――――では、褒める・叱るの良いバランスとは何でしょうか。

心理学者兼ビジネスコンサルタントのマルシャル・ロサダによる研究では3:1、つまり叱る3倍褒めるのがベストバランスという研究結果が出ています。

――――何を褒めたら良い?

結果だけではなく、プロセス(過程)であったり、新人看護師の目線で褒めてあげるというのも重要です。先輩看護師にとったら出来て当たり前の事でも、新人看護師にとったらここ1ヶ月で出来るようになった事かもしれません。「出来ないことが徐々に出来るようになったね」とプリセプターとして新人の成長を感じているというのをしっかりと伝えてあげましょう。


≪悩み≫新人とどうコミュニケーションを取ったら良いか分からない

≪解決策≫先輩であるプリセプターの方から積極的に話題を振ってあげるのがベター
新卒看護師の多くは、「プリセプターに思いや考えを上手く伝えられない」「もっとコミュニケーションを取りたい」と思っています。しかしながら、「プリセプターは怖い」という思いや、新卒看護師もまた「どうコミュニケーションを取ったら良いか分からない」と感じており、先輩から話しかけられるのを待っている状態なのです。
ですので、ぜひここは先輩がリードしてあげましょう。
仕事終わりにご飯に誘って、新人看護師さんが話しやすい環境で悩みを引き出してあげるのも良いかもしれません。


≪悩み≫教えた事に対して何度も同じミスをしてくる

≪解決策≫業務量を見直し、負担の軽減を検討してみる。

その新人看護師にとったら業務量オーバーなのかもしれません。一人ひとり人間が違うように、仕事の飲みこみの早さも千差万別。師長や主任に相談し、一度新人看護師の業務量を減らして、一つ一つの事を確実に理解しこなせるような環境を整えてあげるのも一つの手です。


≪悩み≫自分が担当している新人(プリセプティ)をどうしても好きになれない

≪解決策≫ 「その子のため」ではなく「患者の命のため」と思い接する。

仕事に対する価値観の違いだったり同じようなミスを何度も繰り返されると、人間ですもの、プリセプティ自体を快く感じられなくなる事も出てきますよね。快く思っていない相手に“指導しなきゃ”と考えると心がざわついて仕方ありません。その子がミスをして患者に迷惑がかからないよう、「患者の命のために」と思いやる対象をプリセプティから患者に変えると、プリセプティに快く接する事ができるようになるかもしれません。

 

新人看護師(プリセプティ)が抱える悩みとは?

新人看護師がどんな事に悩んでいるのかを理解する事で、こちらから声をかけやすくなりますし、気遣ってあげることもできます。それでは、新人看護師は実際にどんな事に悩んでいるのか考えてみましょう。

新人看護師が抱える悩み

プリセプターにもかつてはあった新人時代、その時を思い返してみれば新人がどんな事に悩んでいるのかが見えてくるかと思います。新人時代に記録していた看護ノートを読み返すのも良いかもしれません。考えられる新人看護師の悩みを書き出してみます。

  • 職場の人間関係
  • 業務量の多さ
  • 患者の死
  • 臨床における実戦能力不足
  • コミュニケーション方法

ここで注目したいのが、「臨床における実戦能力不足」「コミュニケーション方法」という2つの悩み。実はこの悩み、プリセプターが思っているよりもはるかに新人が思い悩んでいる問題なのです。では具体的にどういった部分に悩んでいるのでしょうか。

≪臨床における実戦能力不足≫

患者の急変時や緊急入院への対応、重症患者への対応やME機器の扱い方などで特に実践能力不足を痛感しており、自分一人では患者に対して十分な看護が出来ておらず、患者やフォローしてくれる先輩看護師に申し訳なさを感じているようです。

≪コミュニケーションの取り方が分からない≫

患者やその家族、そして一緒に働く先輩看護師とのコミュニケーションの取り方が分からないという新人看護師が近年多い傾向にあるようです。その理由として、「両親の共働き」や「核家族化」といった現代特有の時代背景が幼少期における人間関係構築の学習機会の減少に影響していると言われています。

それともう一つ!新人自身が気づいていない“新人特有の悩み”というものがあるんです!

それは、精神的・身体的にも疲労がピークに達しているという事です。新人看護師にとったら学生から一転、初めて臨床の場に立ち緊張の糸は張りっぱなし。入職して3ヶ月が経つ6月7月は、新人看護師が疲れ切っていないか特に注意して見てあげると良いかもしれません。

 

新人看護師が求めるプリセプター像とは?

新人看護師からの評価なんて気にしない、と思いつつも知りたい新人の本音。新人時代に指導してくれたプリセプターのどんな所に感動したのか、看護師の声をご紹介します!

【プリセプターのココが素晴らしかった!】

◎急かしたりせず私のペースを大事にしてくれた。

◎どんなに忙しくても顔に出さず、常に笑顔を絶やさなかった。

◎業務に細かく手順を書いてくれるなど指導がとても丁寧だった。

【こんなプリセプターは尊敬できない】

◎強すぎる口調や冷たすぎる態度が辛かった。

◎陰で私の悪口を言って笑っていた。そんなプリセプターなんて信頼できなかった。

◎プリセプターの機嫌によって指導する態度が全然違う。嫌な事があったら八つ当たりをされるので、振り回されて大変だった。

などなど。新人看護師にとってプリセプターは、看護師としての基礎を作る段階において多大な影響を受ける存在です。人間同士相性があるとはいえ、あからさまな態度は控えるのが無難です。

 

新人看護師が辞めたいと言い出したら

新人看護師から辞めたいと言われたら「自分の指導がいけなかったのか」と責めてしまうプリセプターは多いと思います。

しかし、実は 新人看護師(新卒看護師)の約7割(※)は離職願望を持っているんです。※日本看護研究学会雑誌 Vol. 30「新卒看護師のリアリティショックとプリセプターからみた新卒看護師のリアリティショックに関する認識の相違」より

なので、プリセプターが責任を感じてしまう必要はありません。なぜ辞めようと思っているのか、悩みを聞いてあげましょう。「どうしてもついていけないので辞めたい」と新人看護師が言うのであれば、その新人看護師にとってその病院が合わなかっただけです。プリセプターは気にしても仕方ありません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

仕事に対する熱意も考え方も十人十色。 新人看護師の指導に悩んでも一人で抱え込まないで下さいね。
プリセプター仲間同士で悩みを打ち明けたり、プライベートでのストレス発散も大事!

頑張れ!プリセプター!

参考文献:日本看護研究学会雑誌 Vol. 30「新卒看護師のリアリティショックとプリセプターからみた新卒看護師のリアリティショックに関する認識の相違」

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