今回はこの弾性ストッキングについてまとめるね。
■弾性ストッキングって何?
弾性ストッキング。
聞き慣れない名前ですよね。普通のストッキングとは違うようです。
でも、見た目も普通のストッキングと同じように見えますね。
ところが、この弾性ストッキング。ちゃんとした医療器具なんです。
普通のストッキングとは違い、 足を圧迫するための特殊な編み方でつくられた医療用ストッキングです。
下肢静脈の血液還流を促進する働きがあり、静脈瘤やリンパ浮腫の治療の際などに使用されています。
ドラッグストアにも圧迫ストッキングとして売っていますが、医療器具ですので医師の指示のもと自分に合ったストッキングを使わないと余計に悪化します。
(足のむくみ解消と書いてありますが、むくみの原因によっては悪化させてしまいます。)
■弾性ストッキングコンダクター
そんな弾性ストッキングの使い方や着用後のフォローできる方を資格として認定しています。
それが、弾性ストッキングコンダクターです。
弾性ストッキングコンダクターは日本静脈学会総会において弾性ストッキングの正しい使用法を熟知し、患者さんの疑問などに答えられる医療従事者の資格です。
弾性ストッキングコンダクターの役割は、患者さんが弾性ストッキングの必要性を理解し、最良の治療効果が得られるよう指導することです。
■資格の取得方法
弾性ストッキングコンダクターは国家資格ではなく民間資格です。
受験資格はありませんが、資格は医師、看護師(正准)、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などに限られています。
試験はありませんが、講習会を受けたのち2年間以内に30人以上の臨床指導が必要になっています。
また、スキルの維持向上を目指すため、他資格同様に5年毎の資格更新が求められています。
■地震時の使用について
東日本大震災・熊本地震ではエコノミー症候群が問題になりました。
特に熊本地震では車中泊を行っている被災者が多く、エコノミー症候群が多数出ている報道も聞いていると思います。
この弾性ストッキングはエコノミー症候群などで発生する浮腫に効果があると考え使う方もおられるようですが、医療従事者の指導のもと使用してください。
以下は、日本静脈学会弾性ストッキングコンダクター養成委員会が出している公表文です。
弾性ストッキングの効果は限られており、リスクメリットからも、対象被災者は一部の静脈血栓塞栓症ハイリスク被災者とするべきであると考えます。
最近の被災地の一部では静脈エコーによるスクリーニング検査を施行したうえでの配布が行われてきましたが、被災者全員にスクリーニング検査行うことは現実的ではなく有効性も証明されていません。
異論はあるかと思いますが、ハイリスク被災者に、歩行や足首の適度の運動を励行し脱水を避けるように指導した上で、合併症を起こさないように弾性ストッキング着用指導を行うのが妥当と思われます。
弾性ストッキングの適応患者は過去および今回の震災で女性の車中泊患者に発症が多かったこと、以外は周術期予防に準じて良いかと思われます。弾性ストッキング着用で効果が見込めると思われるハイリスク被災者
1)車中泊をしている方
2)肺塞栓症・深部静脈血栓症の既往、家族歴を有する方
3)妊娠、出産、ピルの服用中の方
4)がんを患い治療中の方
5)高齢(70 歳以上)の方
6)肥満の方上述の基準が1項目以上ある方は、生活が通常の状態に戻るまで着用を続けます。
弾性ストッキングは着用方法を誤ると、皮膚のかぶれ、圧迫による傷、下肢の虚血などの合併症を発生します。
医師、保健師、看護師など医療従事者の指導下あるいは着用の説明書をよく読んで使用してらうようにしてください。